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坂本雄三先生へ、「感謝」を込めて
2026/01/17
昨日、東京大学名誉教授の坂本雄三先生が逝去されました。
藤島建設の技術の歩みに、先生のお力添えがあったことは間違いありません。
あらためまして感謝を申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
Fit in plazaは、これまでの現実離れした華美な住宅展示場とは違い、住まいの性能をお施主さまに体験していただくための施設です。
「見た目が立派」よりも、「暮らしてからの快適さ」を肌で感じてもらうための施設なのです。その根っこにある考え方を整え、施設として形にする監修をしてくださったのが坂本先生でした。
展示場「満ちる家」は、エアコン1台で住まい全体の冷暖房をまかなう展示場です。さらにHEAT20 G3(高い断熱性能の目安で、最高水準の一つ)という、住宅の最高性能を具えています。
その性能が設計通りに出ているのか、私たちは坂本先生に検証をお願いし、数字と体感の両方で判断していただきました。
先生の検証とご指導が、社内の基準となり、品質を支える大きな柱になっています。


坂本先生が独立行政法人(現在は国立研究開発法人に移行)建築研究所の理事長を務められていた頃、視察の中で多くの学びをいただきました。
研究所は、理論を机の上で終わらせず、実際に確かめる場所でした。「分かったつもり」をなくすための、現場での確認の仕方の大切さを教わりました。その考え方が社内の打合せや現場の段取りに根づいていったのも先生の指導のおかげです。
品質は特別なことではなく、当たり前を揃えることだという先生の言葉が忘れられません。(住まい造りの想い④参照)
先生の教えが、「当たり前品質」という藤島建設の考え方の土台の一つになっているのです。

建築研究所内での勉強会


坂本先生とは、何度も海外研修をご一緒しました。
先生と一緒だったからこそ見られた施設や技術があり、視野が一気に広がりました。
現地で先生が大切にしていたのは、設備の新しさよりも「なぜそうしているのか」をつかむことでした。
構造や断熱(暑さ寒さを和らげる工夫)などを、現場目線で丁寧に読み解かれていました。
私たちの質問にも、答えを急がず、まず観察する点を整理してから、丁寧に教えてくださったことが印象的でした。先生のひとつひとつの考え方や進め方が、帰国後の社内改善につながり、現場の工夫や標準化にも広がっていきました。
研修のたびに、技術だけでなく、学び続ける姿勢を先生から受け取っていた気がします。
今振り返ると、あの時間が私を育て、会社を育ててくれたのです。いただいた学びを、地域の住まいづくりに確実に還元していきます。

パリ 建築国際見本市BATIMAT

オーストリア集成材工場視察

ザルツブルグ大学にて受講(右側後姿が坂本先生)

ミラノ万博 集成材を利用したフランス館
坂本先生はワインがお好きで、国内外を問わず、ご一緒する機会が数多くありました。
研修や視察の後の一杯は、私にとって先生と研修と視察の学びを整理する大切な時間でもありました。
ワインの香りや土地の話から、建築の地域性へ話がつながることもありました。
「土地が違えば、暮らしも違う。だから住まいも、地域の特性に合わせるんだ」そんな言葉が残っています。
全国統一基準の住まいの性能や仕様ではなく、埼玉に特化することを大切にしている藤島建設の姿勢も先生から受け取った考え方のひとつです。
今となっては、ご一緒したワイン、その一杯一杯が、かけがえのない思い出です。
先生の温かさを胸に、私たちも誠実に仕事を続けてまいります。
坂本先生、本当にありがとうございました。いただいた教えを、これからも藤島建設の「当たり前品質」として積み重ねてまいります。

建築研究所近くのつくば市内にて 右端は早稲田大学名誉教授木村先生
ミラノ万博 ワイン館 (左 東京都市大学 大橋好光先生)