例年、8月から10月ごろ、日本列島を台風が襲います。近年では特に異常気象の影響で大雨をもたらすことが増えた気がします。経験したことのない降水量、過去最高の雨量など、想定を超える大雨によって川が氾濫し、毎年のように家屋が浸水したという悲しい報道があります。
このような異常気象が日常気象になりつつある昨今、過去のデータにとらわれない行政の護岸工事や外郭放水路などの対策が望まれます。
これから住まいを求める方は、国土交通省、各市町村などのホームページでハザードマップをご覧になれますので参考にしてください。自然災害のリスクを減らす、家族を守るための大事なひと手間です。
おかげさまで埼玉県南は自然災害の比較的少ない地域です。ただ、残念なことに、水害を避けるためハザードマップを気にする方は増えてきたのですが、人災リスクについてはあまり気にしていないように感じております。
それは、隣地建物との間隔です。
民法では隣地境界線から建物の壁面まで50㎝離さなければ家を建ててはならないと規定されています。しかしながら、隣地所有者との合意があれば、これより狭くても構わないのです。最近では、隣地境界線から壁面まで50㎝を切り、ぎりぎりで建てられている住宅が増えている様に見受けられます。
埼玉県南のように土地の価格が高いところは十分な広さの土地を確保できないことがあり、「できるだけ建築面積を広げたい」と考える気持ちはわかるのですが、通風や日当たり、近すぎて騒音やプライバシー侵害はもちろん、隣人宅からの火災延焼を考えれば、家族を守るためにハザードマップ同様に隣地との距離について真剣に検討しなければいけないことなのです。
それからもうひとつ、今のお隣さんとは合意できても将来建替える時にまた合意できるか分かりませんし、外部のメンテナンスも思うようにできません。そのような不動産は、売却時の資産価値が減少するというリスクがあることも踏まえなければなりません。
間取りやキッチンなどの設備を考えることは楽しいことです。楽しいことばかりではなく、住まいにはいくつものハザードがあることも避けずに考えなければなりません。しっかりとハザードを調査し、受け入れるもの、避けるものを検討したうえで住まい造りすることが大切なのです。
2001年に訪ねたスウェーデンの分譲地 お隣さんとの間隔は余裕たっぷり