shere

close

blog

地区計画(住まい造りの想い64)

2024/08/06

土地の所有者が、自由に建物を建てることによって、防犯、防災などを含め地域環境を損ねることがあります。
そのため、建物の建築に制限をかける法律は数多くあり、建築基準法や都市計画法などの代表的な法律を耳にしたことがあると思います。

目次

隣地境界

疑問

地区計画

まとめ

隣地境界

隣地境界からの建物外壁麺の距離について、建築基準法では用途地域などによって1m、1.5m以上などの制限があります。一方、民法では50㎝以上との規定があります。

次の写真をご覧ください。

 

この建物はお互いに後退距離が50㎝未満です。それではこの建物は違法なのでしょうか?

実は、民法は私法であり、敷地所有者双方の合意があれば、50㎝未満でもよいのです。

 

疑問

この写真は分譲住宅ですので、新築時はお互いの合意があるので問題ありません。

しかしながら・・・

将来、何十年と経過し、再建築しようとするときに、隣人との関係が悪くなっていて合意をもらえなければ、50㎝以上の後退を余儀なくされます。

さらに、こちらの敷地は残念ながら、いわゆる「狭小地」です。隣地との後退距離を確保した場合には、満足できるような間取りにすることは難しいかもしれません。

また、隣家の音や臭いはもちろん、火災の延焼リスクも高くなります。10年を目安とした外壁塗装の折には足場も組めず、メンテナンスも一苦労です。

地区計画

都市計画法では、適正な土地利用を実現するために、用途地域などの制度を設けていますが、都市化の進展の中で、「不良な環境の地区」が形成される恐れのあるケース等では、地域地区などの規制だけでは対応できない可能性があるので、それぞれの区域の特性にふさわしい「良好な環境の街区を形成」するために地域住民の申し出により地区計画が決定されます。

まとめ

次の資料は、ある地域の地区計画案です。

この地域では、「防災環境悪化防止」のために、外壁後退を50㎝以上、敷地も100㎡以上に制限しようとしております(資料②、③)。

 

地域環境悪化防止を目指すこの地区計画が決定すれば・・・、この地区内では再建築時、狭小敷地であっても外壁後退を50㎝以上確保しなければならず、思うような建物を建てられないかもしれません。

 

狭小敷地の3階建ては、リーズナブルに住まいを手に入れることができる手段のひとつです。一方で、前述したようにさまざまなリスクがあるのも事実です。

 

新築時の価格や利便性を見るだけでなく、将来考えられるメンテナンスや建替えなども考慮すること、大切な住まい選びの参考にしていただければと思います。

 

MODEL HOUSE
LINE追加