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住まいとCO2排出②(住まい造りの想い66)
2024/12/27
経済産業・環境の両省は12月24日、温暖化ガスの排出削減目標を2035年度に13年度比60%、40年度に73%減とすることの計画原案を新たに策定しました。
なお、日本を含む世界120以上の国々は2050年のカーボンニュートラルを最終目標としています。
セメント(コンクリート)は、その製造過程において、ほぼ化石燃料だけで運転されている設備によって生成され、多くの二酸化炭素を排出しています。
一方、樹木は二酸化炭素を吸収し、炭素を固定化するのです。つまり、樹木を製材化した木材は、温室効果ガスを貯蓄する、すなわち、木材を利用するほど大気中の二酸化炭素を減らし、温暖化防止に役立つのです。
政府はこれまで、「省エネ基準」「認定低炭素住宅」「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」など、さまざまな省エネ・省CO2対策を行ってきました。この方針は決して間違っているとはいえませんが、実はCO2排出量の削減にはまだまだ不十分なのです。
ZEHと似た概念で勘違いしやすいものが、LCCM住宅です。
お風呂のお湯を沸かしたり、冷暖房器を使ったり、、生活するうえで私たちは電気やガスを利用しています。つまり、化石エネルギーの石油や石炭を燃やし、二酸化炭素を発生させて発電したエネルギーを使っているのです。
この住宅運用時のエネルギー消費を太陽光発電などの創エネと相殺し、ゼロ以下にする住宅が「ZEH」であり、前回のブログで説明したオペレーショナルカーボンをニュートラル以下にする住宅のことです。
一方、LCCM住宅とは建設時、運用(居住)時、廃棄までの一生涯、つまり住宅のライフサイクルカーボンの収支をマイナスにする住宅のことを指すのです。
日本では、LCCM住宅よりもZEHの方が認知度も高く、補助金などの支援策も多く見受けられます。
しかしながら、欧州では、ZEHよりもLCCM住宅の考え方(特にエンボディドカーボン)が主流です。
その違いは何なのか?
実は、欧州では一般的にすでに性能が高い住宅が多く、すでにオペレーショナルカーボンを意識する必要性が低いからなのです。すなわち、それは日本の住宅の性能が低いことを物語っており、住宅においての温暖化対策は遅れをとっているということを表しているのです。
藤島建設は埼玉県の実邸で最初のLCCM住宅S評価認定を取得